PMSとPMDDの違いとは

PMSは非常に個人差がありますが、月経のある女性の50%~70%の人が経験しているとも言われる通り珍しいものではありません。
一方PMDDとはPMSのうち精神的な不調が非常に重くなったもので、通常の日常生活や社会生活に支障が出るものを指しています。
この両者の違いは「生活に支障が出ること」というラインで区分できると考えて良いでしょう。

PMDDやPMSは生理前1週間前程から女性ホルモンのうち黄体ホルモンの分泌が増加する「黄体期」に現れることから、黄体ホルモンが関係している事が指摘されていますが、現状では確固たる原因が特定されているわけではありません。

PMSやPMDDは、自分ではなかなかコントロールすることが出来ません。
特にPMDDでは身近な人に攻撃的、暴力的になる事も多くみられ、家庭不和や離婚の原因になる事もあるのです。
重度の抑うつ状態になって自殺願望が高まったり、自傷行為が見られる事も良くあります。
急激に自殺願望が高まることで命に係わる危険もあり軽視できません。

PMDDの原因については女性ホルモンの影響の他に様々な要因が考えられています。
潜在性鉄欠乏性貧血がその1つです。
生理前には子宮周りに血液が集まるため、脳に行くべき血液が不足します。
このため脳内の正常な活動が阻害されると考えられるのです。
脳内のセロトニン不足に関係するという指摘もあります。
セロトニンは脳内の神経活動に多大な影響を与えることが知られ、幸せホルモンと言われることもあります。

機能性低血糖症が関係している可能性も指摘されています。
PMDD時に増加している黄体ホルモンは、インスリンの働きを低下させることが分かっています。
このため食事などによって血糖値が上がるとインスリンを多く分泌しようとします。
すると血糖値が急激に下がって低血糖の状態になります。
こうなるとアドレナリンやノルアドレナリンが過剰分泌されるので、これが精神不調の原因になっている可能性があると考えられているのです。

PMDDでの受診は婦人科か心療内科か

PMSとPMDDは、受診すべき病院に違いがあります。
PMSでは婦人科を受診するのが一般的です。
婦人科では、低用量ピルや漢方薬が処方されます。
低用量ピルは生理を軽くすることが出来るため非常に効果的ですが、体重が重い場合やたばこを吸う人、高血圧や高齢者などには処方することが出来ません。

PMDDでは、心療内科や精神科を受診するのがお勧めです。
病院の精神科に行きにくい場合は心療内科やメンタルクリニックを利用すると良いでしょう。
漢方薬やSSIR(選択的セロトニン再取込み阻害剤)を処方されるのが通例です。
SSIRはPMDDのうち50%~65%程度で効果が見られるとされています。
はじめはPMDDが現れている期間のみ服用し、効果が無い場合は継続的に服用することになります。
飲み始めは胃部不快感や吐き気といった副作用が出ることがありますが自然に収まっていくのが普通です。
服用を中断するとPMDDが再発しやすい傾向があります。

精神薬の副作用などが気になる場合は漢方薬がお勧めです。
副作用がほとんどなく、使用した半数以上で効果があったという報告もあります。
とりあえず試してみる価値は十分にあるでしょう。
病院で処方される場合は保険適用になるため自費で市販品を買うよりも安く入手出来ます。

PMDDはまだ認知が進んでいるとは言えず、知らずに苦しんでいる本人や家族が多く存在していると考えられています。
病気ではなく本人の性格だと思われている場合もあります。
もしも身近にPMDDで苦しんでいる人がいる場合は、こういうものがあるのだと教わるだけでラクになることも少なくありません。
心療内科などで診察を受けて適切な治療に繋げましょう。